【教訓】冬山の恐ろしさ 北アルプスで大学生ら2人遭難 なぜ道に迷ったのか…山小屋管理人「風雪を避け低い所に行ったのでは、寄ってくれれば…」
北アルプス・三俣蓮華岳に向かったまま、行方が分からなくなっていた東京都の男性2人は10月24日までに無事が確認されました。1人は23日自力で下山、1人は24日県警ヘリで救助されました。2人はビバークし、沢の水を飲んでしのいでいたということです。 【動画で見る】救助の一部始終 隊員「がんばれよ、まだ安心するな、病院まで」 大学生「すみません」 連絡途絶えて5日ぶり…北アルプスで遭難
県警: 「がんばれよ、まだ安心するな。病院まで、病院まで」 その後、県警ヘリで病院に搬送されました。
■家族に「もう一泊」…連絡途絶える
行方が分からなくなっていたのは、いずれも東京都の自営業の男性(26)と大学生の男性(23)です。 2人は18日に大町市の登山口から三俣蓮華岳を目指し1泊2日の予定で入山しました。
しかし、帰宅予定の19日に家族に「もう1泊する」とメールが送られた以降、連絡が取れなくなっていました。 警察は22日から捜索を続けていましたが、23日夕方まで手掛かりがない状況でした。
■自営業の男性が自力下山
しかし、23日午後7時ごろー。 (記者リポート) 「自力下山をした男性は、こちらの山荘に助けを求め家族に連絡をしたということです」 自営業の男性は疲労などで動けなくなった大学生の男性を残し、大町市の登山口まで自力で下山、近くの山小屋に救助を求めました。 七倉山荘・吉田尚さん: 「どうされました?と聞いたら『ようやく下りてきたところなんですけど、1人稜線に残っている』とのことなので警察に連絡した。だいぶ精神的に疲れている感じで稜線に残っている人が心配だったんでしょうね…」
■沢の水を飲んでしのぐ
自営業の男性の情報をもとに24日朝から県警ヘリで救助活動を再開。 大学生の男性がいるとみられる野口五郎岳西側を目指しました。
そしてー。 県警: 「はい、お待たせ」 男性: 「すみません」 県警: 「接触、けがなし」
24日朝6時半ごろ連絡が途絶えてから5日ぶりに救助―。 2人はテントをはってビバークしていたということです。携帯電話のバッテリーは切れていました。3日分の食料はありましたが、尽きた後は沢の水を飲んでしのいでいたということです。
(記者リポート) 「間もなく7時、救助された登山者が病院に到着しました」 大学生の男性は松本市内の病院に搬送されましたが、命に別条はないということです。
■なぜ、道に迷ったのか
2人は「道に迷った」と話しています。 県警によりますと、2人は上級者向けの登山道「伊藤新道」を使って三俣蓮華岳へ。 その後、「竹村新道」で下山する予定だったということです。 しかし、「竹村新道」へ行く途中に何らかの理由で道を逸れてしまったとみられます。
伊藤新道の登山口にある湯俣山荘によりますと、任意で提出を呼びかけている登山道の通行届は出ていなかったということです。 湯俣山荘・野沢優太管理人: 「20日午後、夕方くらいから強い風と雪だった。恐らくその雪と風を逃げようと低い所低い所へ行ってしまったのでは。助かったから良かったが、もし(山荘に)寄ってくれていれば『雪これくらい降っているからこういう状況なら帰っておいで』と一言が言えたのかなと心残りなところがある」
■10月の登山は冬山と認識を
連絡が途絶えてから5日。 2人が助かった理由について県警はテントや寝袋などの防寒対策がしっかりされていた点、そして、沢筋でビバークしたことで水を補給できた点をあげています。 県警はあらためて10月の登山は冬山と認識し、アイゼンなどの装備を用意すること、天候や積雪など事前の情報収集をしっかり行うことなどを呼びかけています。