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【衝撃事件の核心】「あなたのせいでパソコンが壊れた」…妻の一言で暴発したエリート夫が「頭部破壊」で惨殺するまで

産経ニュース / 2017年9月5日 12時1分
妻の万里子さん(右)の遺体を遺棄したとして、死体遺棄容疑で逮捕された青木克人容疑者(立川山岳会ウェブサイトから)(産経新聞

 登山が共通の趣味だったおしどり夫婦の生活は、どこで分水嶺(ぶんすいれい)を迎えたのか-。東京都八王子市内の山林に妻の万里子さん=当時(43)=の遺体を遺棄したとして、警視庁捜査1課は8月22日、死体遺棄容疑で、国立市富士見台の保険調査員、青木克人容疑者(51)を逮捕した。青木容疑者は「妻と口論になり、頭をハンマーで殴った」と殺害についても自供。万里子さんの生存を偽装するメールを送信していたほか、犯行直後も平然と登山を続けており、知人らからはその二面性に驚きの声も上がった。

消えた被害者
 「前日とは打って変わって涼しい曇りのなか、静かに歩いてきました」
 青木容疑者は万里子さんの遺体を遺棄した直後とみられる6月18日、八王子市内の山に1人で出かけていた。この場所は、5月に夫婦で登ったばかりの山だった。夫婦が所属する立川山岳会のウェブサイトには、登山中に初めてイノシシと遭遇したエピソードを交え、「人間に慣れていない感じでした」などと淡々と記述。7月にも2泊3日で北アルプス穂高連峰に登るなど、何食わぬ顔で登山を満喫していた。
 捜査1課によると、万里子さんは都立の特別支援学校の主任教諭をしており、6月16日に出勤したのを最後に欠勤が続いていた。携帯電話はつながらないものの、学校へは毎週のように休暇願のメールが届いていた。
 それまでまじめで熱心な仕事ぶりだったことから、不審に感じた副校長が7月25日に自宅を訪れたところ誰もおらず、万里子さんが行方不明になっていることが発覚。青木容疑者は任意の事情聴取に対し、「離婚でもめている。しばらく自宅には帰らない」と説明していたが、8月2日になって万里子さんの行方不明者届を出していた。
怒りの着火点
 マンションの防犯カメラには、6月17日午前2時すぎ、自宅から大型のスポーツバッグを車に運ぶ青木容疑者の姿が写っていた。バッグをヒザに乗せるようにして移動しており、途中で思わず廊下に落としてしまうなど、かなりの重量物を運んでいることが明らかに。青木容疑者は8月21日になって犯行を自供し、同日夜に八王子市内の山林から万里子さんの遺体が発見された。
 遺体は血が漏れないよう頭からポリ袋をかぶせられた上、正座のような姿で寝袋カバーに入れられ、上から登山用のひもで縛られていた。司法解剖の結果、遺体の頭部には30カ所以上の陥没骨折があり、その大きさは最大で9センチに達していたことが判明。「脳は原形をとどめておらず、頭蓋骨の中には20個ほどの骨片が残っていた」(捜査関係者)。強い力で執拗(しつよう)に殴られたことがうかがえる。
 遺体の状況からは強い殺意をうかがわせるが、殺意の導火線はどこにあったのか。
 「就寝中にパソコンの故障をめぐって妻に起こされ、口論になった」。青木容疑者はこう動機について語った。万里子さんを殺害したとみられる6月16日夜は、午後9時半ごろに睡眠導入剤を飲んで就寝していたという。その後同11時半ごろになって万里子さんに起こされ、「あなたのせいでパソコンが壊れた。110番通報する」などといわれたため口論になったことが怒りの着火点となったようだ。
偽装メールも
 関係者によると、青木容疑者は一橋大を卒業後、外資系IT企業や信託銀行などに勤め、4月からは大学の地理学科で学んでいたという。近年も金融工学系の学会に参加するなど、知的好奇心が旺盛で、知人の50代男性は「真面目で勉強熱心な人だった」と振り返る。
 その一方で、犯行後には万里子さんの携帯電話から自らの携帯電話に「離婚を親と相談する。家には帰らない」という内容のメールを送信しており、万里子さんの生存を偽装していたことも明らかに。高校時代の同級生の50代男性は「山登りがライフワークのおとなしい人間。本当に信じられない」と驚きを隠さなかった。
 8月に開催された同級生との飲み会の席。「親の言う通りに進学したが、最近やっとやりたかった勉強ができるようになった」としみじみと語っていたという青木容疑者。しかし夫婦の間では、サラリーマン時代とは違って休みの多い青木容疑者の働き方についても、夫婦げんかの種になっていたという。
 妻を登山に誘う優しい“山男”の顔の裏では、抑圧された思いが募っていたのかもしれない。