北アルプスでの遭難者救助に貢献した中林さん(右)。左は高山署の西脇署長
北アルプスの遭難事故で5日がかりの救助活動を行った穂高岳山荘支配人の中林裕二さん(50)に、岐阜県警高山署から感謝状が贈られた。
中林さんらによると、8月15日朝、50歳代の男性が北アルプスの通称「ロバの耳」と呼ばれる岩山付近で約80メートル滑落。中林さんは県警山岳警備隊とともに現場に駆けつけ、足や胸に重傷を負った男性を約40メートル上の登山道まで引き上げた。
当時は気温10度前後で風が強く、男性を背負って運ぶのは困難だったため、平らな場所のほとんどない登山道で野営し、天候が回復した19日早朝に県警のヘリコプターが到着するまで5日間、警備隊員と交代で男性に付き添った。
飛騨市出身の中林さんは大学卒業後、山荘に就職。山荘関係者らでつくる「北飛山岳救助隊」の一員として、野営が伴う遭難救助も5回経験したという。西脇克児署長から感謝状を受け取った中林さんは「GPS(全地球測位システム)などに頼りすぎる登山者も少なくない。事前に天気予報やルートなどを調べ、力量に合った登山を楽しんでほしい」と話していた。