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12人に1人がなる「乳がん」、体質的な傾向はある?

オールアバウト / 2017年11月24日 20時45分
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どのような人が乳がんになりやすく、どうすればリスクを下げることができるのかを解説します。

乳がんには体質的な傾向や遺伝も関係している?

現在、女性に発生するがんの第1位は乳がんです。女性の12人に1人が一生のうちに乳がんになるともいわれており、死亡者数も増加傾向にあります。このように乳がんになる女性が増えたのは、どのような原因が考えられるのでしょうか。乳がんになりやすい体質や習慣などはあるのでしょうか。

まず考えられるのが、月経を経験する期間の長さです。乳がんの発症には、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが大きく関係しており、エストロゲンが分泌されるほど、乳がんのリスクは高くなります。このエストロゲンの分泌は月経と連動していることから、初潮が早く、出産歴が少なく、閉経年齢が遅いほど、乳がんのリスクは高まるというわけです。

一方で、遺伝の影響も指摘されています。「がん家系」という言葉をよく耳にしますが、乳がんにおいても自分の身内、とくに母親など、より近親の家族に乳がん経験者がいると、発症リスクが高くなることがわかっています。具体的には、乳がんを発症した人の5~10%は、遺伝性であると考えられています。

もちろん、これらの体質的な条件をそろえていても、乳がんを発症するとは限りません。乳がんの発症には、さまざまな環境因子が複雑に絡み合って関与していると考えられています。仮に、上に挙げたような条件をそろえていても、乳がんにならないまま一生を終える人はたくさんいるのです。

喫煙者の乳がんリスクは約4倍

乳がんの発症に影響する環境因子の代表例が、「飲酒」と「喫煙」です。日本人女性を対象とした大規模調査では、飲酒量が多いグループと、飲んだことがないグループとで比較したところ、前者のほうが1.75倍も乳がんのリスクが高いことが示されています。具体的には、エタノール換算で週150g以上、すなわちビールなら大瓶7本、日本酒なら7合程度が相当します。

また、「喫煙」は、乳がんに限らず、さまざまな病気のリスクを高めることが知られています。厚生労働省の研究によると、閉経前の女性では、喫煙による乳がんの発症リスクは、吸わない人の約3.9倍にも増大することが示されています。加えて、周りの人が吸ったタバコの煙を吸い込む「受動喫煙」でも、乳がんのリスクは2.6倍にも膨らみます。

日本たばこ産業の調べによると、日本人の喫煙率は年々減少していますが、40~50代の女性は横ばいで推移しているようです。乳がんの発症年齢のピークが40代後半となっていることを考えると、この年代の女性喫煙者は、すぐに禁煙を実行してほしいものです。飲酒は適量を心がけ、タバコをやめることが、乳がん対策として重要なことだといえるでしょう。

不規則な生活と食生活の見直しも有効か

私たちの体には「体内時計」が備わっており、そのはたらきによって日中に活動し、夜間に休息するという1日のリズムが保たれています。ところが、不規則な生活によって体内時計が乱れると、睡眠障害をはじめとする体調不良が引き起こされ、ひいては乳がんをはじめとするさまざまな病気のリスクへとつながってしまうのです。

たとえば夜勤の多い看護師や、国際線の乗務員などは、それ以外の職業の人と比べて、乳がんの発症リスクが高いことがわかっています。職業柄、生活が不規則になりがちで、その結果として体内時計が乱れてしまうことが影響していると考えられます。

同時に重要なのは、食生活を見直すこと。そもそも、日本人女性の乳がん罹患率は、以前はそれほど多くはありませんでした。それが、女性のがん罹患率第1位にまで増加してしまった背景には、欧米型の食事が影響していることが指摘されています。動物性脂肪や乳製品を中心とする食事は、穀物と野菜が中心の食事に馴染んできた日本人の体には、合わないといわれます。和食を習慣にすることは、糖尿病などの生活習慣病だけでなく、乳がんの予防にもつながるといえるのです。

また、運動習慣の有無も乳がん発症リスクと関連があることが分かっています。運動習慣がない人は、まずは手軽に始められるウォーキングなどでもよいので、週2~3回定期的に運動する習慣を身につけるようにしましょう。
(文: 清水 なほみ)